GRL×齊藤工独占インタビュー

齊藤工 配信映像を映画にしたんですよ

GRL(以下G):今回海外の映画祭でも賞を獲得している『blank13』なんですが、これは実話なんですね。

齊藤工さん(以下S):原作は友人で、バラエティ番組の放送作家でもある、はしもとこうじさんの実話が基になっています。一度、芸人のあばれる君が主演の『バランサー』という映画を撮らせて頂いたんですけど、その脚本を書いて下さった方です。
この『blank13』の元になった、はしもとこうじさんの話は決してハッピーではないんですけど、それを面白おかしく話して下さったので、「映像的だなぁ」と思っていました。そんな折に配信で映像作品を作ってみないかとお誘いを頂いて、この話の実写化を提案したところ、気に入って下さって、実際に映像を作ることになったんです。

G:最初は映画ではなかった……と。

S:そうです。でも僕的には作戦があって。最初は尺が60分程度の作品だったんですけど、60分の尺の脚本を作ると大体10〜20分ほど伸びるんです。70分になると長編映画のコンペティションに出せます。映画祭に出すにはプレミア上映が必要になってくるので、配信を待ってほしいと頼みました。先に劇場公開をして話題を作って、配信したらどうかとも持ち掛けたんです。映画祭は別バージョンを撮って繋げればいいんじゃないかと提案もしたりして、プロデューサーを口説き落としました。そして、今に至るわけです。台本的には60分想定のものだったんですけど、作為的に70分を超える感じで作ったわけです。要するに、配信映像を無理やり映画にしたんですよ。

齊藤工 現場で何か起こる事は予想していました

G:なるほど、そういう経緯もあったんですね。

S:撮影も6〜7日間で撮り終えました。

G:そんなに短期間で撮れるんですね。

S:そうですね。単館映画もたくさん携わってきたので、どうしたらその期間で撮れるかもある程度は知っていました。まず最初につかまえたのは制作スタッフです。自分が参加した単館系の作品で、一緒に厳しいスケジュールの中で戦ってきたある意味、戦友でもあるので。彼がロケ地を足利市でまとめてくれたり、ロケ地までの移動も大事なので、どこを拠点にしてどこを交通整理するのかなども全部成立させてくれました。とにかく"ウルトラC"が起きることを前提にスケジュールを組んでいったんです。

G:ミラクルが起きることが前提と(笑)。

S:そうですね。1日でも天気が崩れたら終わりという状況でした。ただ、どれだけ準備しても、現場で何か起こるなとは想定していたし、その時柔軟に対応しようと考えていました。そうしたら、出演して下さった野生爆弾のくっきーさんが、手違いで電車を乗り間違えて遅れてくることになり、じゃあ撮影シーンに間に合わないのなら、突然来て突然帰る役に変えましょうとか。女優の伊藤沙莉さんの場合も、東京と足利の移動を考えると午前中の1時間半しか撮影のスケジュールがとれず、じゃあくっきーさんのように突然来てすぐ帰る感じにしようと、臨機応変に撮影をしていきました。また高橋一生さんが演じる「こうじ」のお兄さん役の方も決まっていたんですが、1週間前にスケジュールが難しくなったと降板され、急遽、自分が出ることになったり……。まぁ、色々あることを予想はしていたんですけど、やっぱり色々起きましたね。

G:やっぱり、いきなりそういった問題が起きるんですね。

S:作品は"生もの"というか、準備していたものはどんどん鮮度が落ちて行ってしまうものなので、その場で起きることに身を任せるというか、柔軟に対応していくことが大事だし、面白い方向に転がるなぁとは思いました。まぁ、今となっては良い思い出ですけど。

G:なるほど。やはり現場では想定外のことも色々と起こるわけですね。

S:だからこそ、それを全部吸収して出来上がった作品なので、より濃い作品になっていると思います。

齊藤工 全部吸収して出来た、より濃い作品になっていると思います。

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齊藤工

1981年生まれ。モデルとして活動後、2001年に俳優デビュー。出演作は映画『昼顔』(17年)『去年の冬、きみと別れ』『蚤とり侍』(18年)、ドラマ『BG 身辺警護人(仮)』など。2018年2月公開の『blank13』は上海国際映画祭をはじめとする数々の海外の映画祭で高い評価を得る。近年は国内に限らず海を越えての移動映画館『cinema bird』の活動も話題に。

『blank13』(2017年/日本/70分/クロックワークス)

監督:齊藤 工 出演:高橋一生、松岡茉優、斎藤 工、神野三鈴、佐藤二朗  リリー・フランキー 他

13年前に突然失踪した父が余命3カ月で見つかった。借金を残し消えた父に母と兄は会おうとしなかったが、キャッチボールをしてくれた優しい父の記憶が忘れられないコウジは病院へ向かい再会を果たす。しかし、2人の間にある13年間の溝は埋まらないまま、父はこの世を去ってしまう。果たして父は13年間なにをしていたのか?もう取り戻せないと思っていた13年間の空白が、葬儀当日の参列者が語る父親のエピソードで、 家族の誰も知らなかった父親の真実とともに埋まっていく…

[staff credit]

writer:牛島 康之(NO TECH)

photographer:太田 泰輔

stylist:川田力也(es-quisse)

hair&make-up:赤塚修二(メーキャップルーム)

[衣装協力]

ジャケット、パンツ、シューズ/ヨウジヤマモト(ヨウジヤマモト プレスルーム 03-5463-1500)

シャツ/ヘッド メイナー(アーバンリサーチ 表参道ヒルズ店 03-6721-1683)

ハット/カシラ×ノックス(カシラ ショールーム 03-5775-3433)